「日本語でケアナビ」の詳細画面に登場する語彙・表現と
その例文の日本語から英語への翻訳は、
日本英語医療通訳協会に担当していただきました。
「日本語でケアナビ」の翻訳作業について
日本英語医療通訳協会の会長である水野真木子さんに、
翻訳という行為の難しさ、奥の深さを
具体的にいろいろな例を挙げて話してくださいました。
今回は後編です(前回もご覧ください)。
状況を深く推察することが大事
例文がどのような場面で話されるのか、状況を推察しないと適切に訳すことができない。
今、他の病院にかかっていますか。 → Are you currently seeing any other doctors?
「hospital」は総合病院を意味するので、病院を「hospital」と訳してしまうと、小さい診療所などに通っている場合、かかっていると答えないケースがある。
高齢者のペースに合わせましょう。 → Let's slow down the pace for the elderly.
「ペースに合わせる」の場合、追いつくという意味で「catch up with」が頭に浮かぶが、相手が高齢者なら「速度を遅くする」としなければならない。
意味が理解しにくい例文
看護や介護の専門用語や現場で使うことばで、
日本語として意味を読み取りにくいものがあった。
医師ら専門家と相談しながら訳していくことが必要。
また、略語になっていると辞書に載っていないことも多いので、難しい。
片肘立ちからゆっくり体を起こしましょう。 → Please try to get up onto your elbow slowly.
「片肘立ち」というのが、どのような体勢か、最初はわからなかった。
腰を落とす → to crouch down ; to bend one's knees.
この場合も具体的な動作を考えて、英語に訳した。
決まり文句がある表現
表現によっては、言い方が決まっているものがある。
首を寝違えました。 → I woke up with a crick in my neck.
この場合は、「wake up」を使うのが一般的。
生理痛がありますか。 → Do you have menstrual cramps?
「生理痛」の場合は、「cramp」ではなく、「cramps」にしなければならない。
「日本語でケアナビ」の場合は、文脈が明示されない単文の翻訳が多く、
いっそう難しい作業になったようです。
翻訳をお願いする方も、状況説明など、より詳細な情報を伝える必要があると感じました。
水野会長は通訳について、日本英語医療通訳協会のホームページで次のように述べておられます。
「認知的に非常に複雑なプロセスを経て行う通訳は、特別なスキルを持った人間でなければできません。専門のトレーニングが必要なのです。通訳力とは、語学力を縦軸に、専門知識を横軸にした場合、さらに奥にもう一つ軸を考え、立体的に捕らえるべきです。この3本の軸が構成する空間が通訳力を示すのです」
今回は翻訳について、お話を伺ったわけですが、
この「奥にもう1つの軸」があるということ、
換言すれば、翻訳という行為の奥深さの一環を感じることができました。
2007.12.14 13:56 - たなか


