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2008年3月のシンポジウムの詳細が決定!

うえだ

シンプルで使える!な例文作り

「沈める」2:データベースは大邸宅

自動詞と他動詞、ふだん日本語を話すときに、それを意識している母語話者は少ないと思います。文法なんか考えずに話していますよね。辞書の説明を見ると「自動詞」と「他動詞」は、以下のようにあります。(大辞林より)

自動詞:動作主体の動作・作用が他に及ばないで、それ自身の働きとして述べられる動詞。「を」格の目的語をとることがない。「雨が降る」「花が咲く」の「降る」「咲く」などの類。
他動詞:その動詞の表す動作や作用が直接他に働きかけたり、他をつくり出したりする働きとして成り立つもの。動作・作用が及ぶ対象は、ふつう格助詞「を」で表される。

入浴介助、つまりお風呂に入るのを手伝う場面では、介護者が患者(利用者)さんに対して動作を施す場面なので、「△△がxxを○○に沈める」と、他動詞である「沈める」が使われることになります。ちなみに、自動詞は「沈む」です。たとえば「夕日が沈む」の「沈む」です。人が夕日を「沈める」ことは普通ありませんからね。

「自動詞」と「他動詞」の組み合わせは、もちろん「沈める」「沈む」だけではありません。

「『ドアを開ける』の『開ける』は他動詞」
「『ドアが開く』の『開く』は自動詞だから、別々のことば・・」
「ということは、別の項目で取り上げる必要がある。となると・・・」
「すべての動詞について自動詞、他動詞を網羅する?項目数が膨大になるよ。」
「それとも、『関連語』の項目に入れてみる?そうすれば、項目をふやさずにすむけどね」

ことばや表現を選んで、きれいにふるい分けるのは面白い作業なのですが、いわば一つ一つのことばに固有の部屋を与えるようなものですから、それなりに大きな家が必要になってきます。つまり、データベースに収容する部屋の数がどんどん膨れ上がってくることになります。

私たちが第一言語である日本語を学ぶ過程では、既知の情報と何らかの関連をつけて、新しい情報を取り入れて知識を構築してきています。外国語の学習でもそういうストラテジーを活用しない手はありません。ですから、一つのことばを学べば、「自動詞」「他動詞」だけでなく、「反対語」「派生語」「関連語」など関連情報を広げることができます。

開発チームの話し合いは、一つのことばを採用することにはじまり、そのことばを学習するための例文を作ることから、どんな情報をどのように提供すれば、日本語学習者にとって使いやすい、勉強したいと感じるものになるのか、というように次第に内容が広く深くなってきました。

そこで気づき始めたのが、「これって、看護師・介護士、フィリピン人学習者だけの問題じゃないよね」ということです。自分たちが日本語教師として接してきた学習者の話しぶり、誤用、学習上のなやみ等、記憶の森からいろいろな事例が跳びだしてきます。

「こういうデータがあればいいよね」
「ほしいと思う」
「私もそんなんあったら使いたいと思う」

私たちは次第に野心的になっていくのです。

すでにインターネットサイト公開した今の時点から当時を振り返ってみると、その頃の私たちはインターネットで配信するという概念がまだよく自分の中になかったんだなあと思います。

「データベースにあまりにもたくさんのことばを載せるのはどうか」、ということをよく話していました。搭載する項目を増やすことは、初心者に対して分厚い辞書をドーンと与えるような気がしていたのです。

いやいや心配ご無用。大邸宅の一部屋ずつに収まったデータですが、検索をかければスーッと出てきてくれるのがインターネットというメディアの利点です。

インターネットで実際に動かしてみてはじめて、こんなことができるのか、と実感し、感心もしました。そしてさらに、「これができるんだったら、こうすると、どうなる?」とさらに要求が高まっていきます。

どんな大邸宅でも収まらないのはデータではなく、きっと私たちの野心の方なのでしょう。

2007.10.25 09:21 - うえだ

次は「「沈める」3:ことばは人間関係そのもの」

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