こちら「日本語でケアナビ」開発室

2008年3月のシンポジウムの詳細が決定!

すなみ

ディレクター、かく思えり。

ペルソナが教えてくれるもの

サイト設計を含めたものづくりの手法のひとつに
ペルソナ・シナリオ法というものがあります。
「日本語でケアナビ」の制作にも用いられました。

ペルソナとは、仮想のユーザー像です。
このペルソナがサイトを使う姿をシナリオとして描き、
どのようにサイトを設計すれば良いかの指針にするわけです。

ペルソナ・シナリオ法については、
うえださんの記事「西村ビビアン?」で言及されていますが、
ディレクターの観点からも補足的に書こうと思います。

ペルソナの設定には、様々な客観的データが用いられます。
すでにあるサイトの改良のための設計であれば、
アクセスを解析したりユーザーテストをしたりして
サイトの利用状況の具体的なデータを収集します。
新規にサイトを作る場合、

対象となるユーザーにインタビューをしたり、
似たようなサイトを使ってもらって意見を聞いたりします。
またサイトに一見関係のない、ユーザーの日常や価値観、
行動のパターンなどのデータも必要になります。
そうした様々な情報をもとにペルソナをつくっていきます。
これは、ユーザーを理解するための作業といえます。

「日本語でケアナビ」のメインターゲットは、
フィリピン人看護師や介護士の方たちです。
難しいことに、ペルソナを考えた制作メンバーは
そうした方たちと日常的に接しているわけではありません。
新聞記事やテレビ番組、書籍、サイトなどの資料と、
限られた協力者の話をもとに、ペルソナを作っていったわけです。

ですから、ペルソナ・シナリオ法を用いたというには
ユーザーの情報が不十分で、不完全なものだったかもしれません。

それでも僕は、
ペルソナ・シナリオ法を用いた価値はあったと思っています。
制作メンバー全員に「利用者を第一に考える習慣がついた」からです。

利用者第一という発想が大切であるということに
異論がある人は少ないでしょう。
「利用者のことを考えて・・・」とは、よく使われるフレーズです。

しかし、いざ制作を始めると、その発想は見過ごされがちで、
制作側の都合優先で様々な決定がなされていくものです。
結果、利用者にとって使いにくく魅力のないものが出来上がります。

制作過程で問題にぶつかったときは、解決策をいくつか考えて、
利用者に一番いいものを選ぶようにしてきました。
もちろん、技術的な問題や時間がなかったりして
常にベストを選ぶのは難しい場合もあります。
それでも可能な限り利用者思いのものを選ぶわけです。

ところが、制作も山場で時間と心の余裕がなくなってくると、
利用者第一の発想ではなく、問題がより早く解決する方法や、

それに伴う作業の負担が軽い方法が優先されるようになってきます。

そんなときにも「西村ビビアンはどう感じるだろう?」
という具体的なユーザーのことを思い浮かべ直すことで、
「それじゃきっと困るだろうな」
「もっと直感的に理解してもらえる方法が必要」
と立ち止まって考え直すことができるのです。

具体的な事例でいえば、
「検索結果が0件だったときどんなページを表示するのか」
という問題。

単に「エラーです」と表示させるので良いのか?
そうした視点を持つということは意外に難しいものです。
視点さえ持てれば、選択肢を考えることは難しくありません。
大切なのは、立ち止まって考えられるかということです。

制作メンバーが最初にペルソナを考えた経験があったから、
その後の打ち合わせで何か問題が出てきたときも
簡単に流してしまうようなことなく、
誰かが「それで本当にいい?」という声をあげてくれました。
そしてその声で立ち止まって考えることができたのです。

ディレクターだけでなく、制作に関わるすべての人が
利用者のことを考えられる。利用者の姿をイメージできる。
そんな大切なことを実現することができたのは、
ペルソナ・シナリオ法のおかげだと思います。

なお「ペルソナ・シナリオ法」については、
「ペルソナ/シナリオ法:誰のどんな経験をデザインするか? | コラム | ミツエーリンクス」
紹介されていますので、詳しく知りたい方はどうぞ。

また、上記記事の作者である棚橋弘季さんのブログ
「DESIGN IT! w/LOVE」も必見です。
ペルソナを含め人間中心のデザインに関する様々なお話が読めます。
僕の愛読ブログの1つでもあります。

2007.11.08 16:01 - すなみ

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